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月の光 王仁三郎が捉える思兼神
1.『伊都能売神諭』から〜その1
(PP108〜108)
この地の世界の初りは世界一体に泥の海で在つて、光りも温みも何もなかりたのぞよ。丁度譬へて曰へば朧月夜の二三層倍も暗い冷たい世界で、山も河も草木も何一種なかったので在るぞよ。
其泥の世界に身の丈は五百丈ばかり、身の太さは三百丈程も在る蛇体の荒神が住居して居られたのが、御精神の良い大神様の前身で、これが五六七(みろく)の大神様と御成り遊ばしたので在るぞよ。誠に長閑やかな御神姿で、鱗は一枚もなし、角も一本もなし、体の色は青水晶のやうな立派な神様で、天地の元の祖神と成られたので在るぞよ。斯世を創造して、天地を開く事に非常に苦心遊ばしましたのが、此の大神様が第一番で、ミロクの大神様ともツキの大神とも申し上げる御神であるぞよ。
世界を造るに就いて非常に独神で御心配を遊ばして御座る所へ、同じく似たような御神姿の大蛇神が現はれたが、此の神には十六本の頭に角が生えて、其の角の先から大変な光が現はれて居る神様に、五六七(みろく)の大神様が世界創造の御相談をお掛けになったので在るぞよ。
さて其の時の六六六(みろく)大神様の御言葉には、何時までこうして泥の世界の暗い所に住居を致して居っても、何一つの楽しみもなし、何の効能もなし、沢山の眷属も有る事なり。何とか致して立派な天地を造り上げ、万の眷属の楽しく暮らすように致したいのが、我の大望で在るが、其方様は我の片腕となりて天地を立て別け、美はしき地上の世界を造る御心は有りませぬかとと御尋ね遊ばしたら、日の大神の前身なる頭に十六本の光る角を生やした大蛇神様が御答えには、我身は女体の事なり、且つ又たこんな業の深い見苦しき姿で在りますから、貴神様のような御精神の良い、立派な神様の片腕に成ると云う事は、恐れ入りて御言葉に従うことはできませぬと、大変に謙だって御辞退遊ばしたなれど、六六六(みろく)の大神様が強いて御頼みに成り我の片腕に成るのは其方様よりより外にない、我が見込んで居るからとの仰せに、日の大神様も左様なれば御本望の遂ぐるまで我身の力一杯活動いたして見ます、去る代わりに天地が立派に出来上がりましたら、我を末代貴神様の女房役と致して下され、私は女房役となりて万古末代世界を照らしますとの御約束が地の高天原の竜宮館で結ばれたので在りたぞよ。
其所へ艮の金神の前身国常立尊の荒神が現はれて、世界を造り遊ばす御手伝いをさせて下されとお願い申し上げたので在りたぞよ。そこで六六六(みろく)の大神様が早速に御承知被下て仰せ遊ばすには、其方は見掛けに由らぬ誠忠無比の神であるから世界の一切を委すから、落ち度のなきように致すが良かろうと仰せられ、其上に国常立之命に思兼(おもひやり)の神と申す御名を下され、八百万の神様を天の山河澄の川原に集めて一人の眷属も残さず相談の仲間へ入れて大集会を遊ばしたので地の在る限りに住居いたして居れる蛇体の神々様が集まり合ふて御協議の上、六六六(みろく)様の仰せの通りに国常立之命を総体の局に選み下さりたのであるぞよ。
そこで八百万の神々の意見を聞き取りて、其の由を五六七(みろく)の大神様へ申上げたら、日の大神伊邪那岐之尊様と月の大神五六七(みろく)様との御弐体の大神様が更に集会あそばして、国常立之尊を地の造り主と致すぞよとの御命令が下りたので、此の方が地の主宰となりて多陀与弊流地面を修理固成いたしたのであるぞよ。
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