出エジプト |「月の光」

12部族の回復預言と預言の書

 「創世記」(第17章7節、第49章)・申命記(第33章)・列王記T(第12章)・列王記U(第17章)・
 イザヤ書エレミヤ書エゼキエル書ホセア書アモス書ゼカリア書
<選民意識>出エジプト
<預言>ダニエル書ヨハネの黙示録
<参考> 詩篇
<研究> 小石豊

出エジプト第12章 代々守るべき永遠のおきて(過越の祭りと仮庵の祭り)

〔12:01〕エジプトの国で、主はモーセとアロンに言われた。
〔12:02〕「この月をあなたたちの正月とし、年の初めの月としなさい。
〔12:03〕イスラエルの共同体全体に次のように告げなさい。
『今月の十日、人はそれぞれ父の家ごとに、すなわち家族ごとに小羊を一匹用意しなければならない。 〔12:04〕もし、家族が少人数で小羊一匹を食べきれない場合には、隣の家族と共に、人数に見合うものを用意し、めいめいの食べる量に見合う小羊を選ばねばならない。 〔12:05〕その小羊は、傷のない一歳の雄でなければならない。用意するのは羊でも山羊でもよい。 〔12:06〕それは、この月の十四日まで取り分けておき、イスラエルの共同体の会衆が皆で夕暮れにそれを屠り、 〔12:07〕その血を取って、小羊を食べる家の入り口の二本の柱と鴨居に塗る。 〔12:08〕そしてその夜、肉を火で焼いて食べる。また、酵母を入れないパンを苦菜を添えて食べる。 〔12:09〕肉は生で食べたり、煮て食べてはならない。必ず、頭も四肢も内臓も切り離さずに火で焼かねばならない。 〔12:10〕それを翌朝まで残しておいてはならない。翌朝まで残った場合には、焼却する。 〔12:11〕それを食べるときは、腰帯を締め、靴を履き、杖を手にし、急いで食べる。これが主の過越である。 〔12:12〕その夜、わたしはエジプトの国を巡り、人であれ、家畜であれ、エジプトの国のすべての初子を撃つ。また、エジプトのすべての神々に裁きを行う。わたしは主である。 〔12:13〕あなたたちのいる家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。血を見たならば、わたしはあなたたちを過ぎ越す。わたしがエジプトの国を撃つとき、滅ぼす者の災いはあなたたちに及ばない。 〔12:14〕この日は、あなたたちにとって記念すべき日となる。あなたたちは、この日を主の祭りとして祝い、代々にわたって守るべき不変の定めとして祝わねばならない。
 この「永遠に守るべきおきて」は、基本的に春の過越しの祭りと、秋の収穫感謝祭である仮庵の祭りにのみ用いられた表現で、他には記されていません。

(※)「レビ記」第23章・第24章に仮庵祭(かりいおさい)。

 仮庵の祭りは、過越祭(ペサハ)と七週の祭り(シャブオット)とともにユダヤ教三大祭の一つ。仮庵祭(かりいおさい)、スコット(Sukkot)ともいう。Sukkot とはヘブライ語で「仮庵」のこと。ユダヤ人の祖先がエジプト脱出のとき荒野で天幕に住んだことを記念し、祭りの際は仮設の家(仮庵)を建てて住んだことにちなむ。
 旧約聖書「レビ記」23章34節以下に規定がある。
 聖書では、祭りの際にイスラエルの地のユダヤ教徒の成人男性には、エルサレム神殿へ巡礼することが要求されている。
 ユダヤ暦ティシュリ月15日から7日間行われたが、後代に8日間に拡大した。祭りがもっとも盛大に行われるのは最終日である。ディアスポラではこの祭りは「律法の祭り(Śimchath Torah)」と複合して9日間になった。

 「所有地で長く生きるためのおきてと定め」(申命記第6章)がモーゼの十戒。

 モーゼの十戒が「永遠のおきて」ではない。
 「おきて」というと、何か法律的な約束事のように考えがちですが、ここでいう場合はむしろ「暦」として捉えていただければ、わかりやすいでしょう。
 出エジプト以来、イスラエルの年ごとの生活を築く暦は太陰暦でした。
 年間では春の「過越しの祭り」が1月14日です。
 1月15日から7日間は「種入れぬパンの祭り」「初穂の祭り」と続きます。
 3月に入ると、8日には「7週の祭り」があります。
 過越しから数えて50日目のペンテコステの祭りといわれる祭りです。
 秋も仮庵の祭りを含む「大祭シーズン」で、満月の7月15日になると、8日間にわたる仮庵の祭りとなります。

『古代ユダヤの大預言』P101(小石豊、日本文芸社)


ユダヤ人の選民意識

〔創世記12:01〕主はアブラムに言われた。
「あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい。
〔創世記12:02〕わたしはあなたを大いなる国民にし あなたを祝福し、あなたの名を高める 祝福の源となるように。
〔創世記12:03〕あなたを祝福する人をわたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。
 地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。」
〔創世記12:04〕アブラムは、主の言葉に従って旅立った。ロトも共に行った。アブラムは、ハランを出発したとき七十五歳であった。
〔創世記12:05〕アブラムは妻のサライ、甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携え、ハランで加わった人々と共にカナン地方へ向かって出発し、カナン地方に入った。

『古代ユダヤの大預言』P147(小石豊、日本文芸社)


〔33:15〕モーセは主に言った。
「もし、あなた御自身が行ってくださらないのなら、わたしたちをここから上らせないでください。
〔33:16〕一体何によって、わたしとあなたの民に御好意を示してくださることが分かるでしょうか。あなたがわたしたちと共に行ってくださることによってではありませんか。そうすれば、わたしとあなたの民は、地上のすべての民と異なる特別なものとなるでしょう。」
〔33:17〕主はモーセに言われた。
「わたしは、あなたのこの願いもかなえよう。わたしはあなたに好意を示し、あなたを名指しで選んだからである。」
 神が名指しで選んでいる。
 神は自分の意志を人類に伝える奉仕者としてアブラハムの子孫を選ばれている。

『古代ユダヤの大預言』P147(小石豊、日本文芸社)